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2016年3月の定期宅配お宝干し芋今月の定期宅配干し芋を発送しました

カロテン(カロチン)を多く含む人参芋の中でも、最も干し芋に適しているのが、兼六人参芋です。
その丸ほしいもです。

原料芋の大きさで、平干し、丸干し、角切り芋に分けます。
丸干し芋の原料芋は全体の1割未満です。

兼六種は戦前から作られていた品種です。
育て辛いので、今はほぼ栽培されていません。

マメ科の緑肥作物のクロタラリアは、根が張ることで土壌改良になります。
また、育った幹と葉の部分は、鋤き込むことで緑肥になります。

農業は効率を追うと、誰もが同じようなものしか生産しなくなります。

サツマイモの栽培において有害動植物というと、葉っぱを食べるイモムシや、つるが伸びる前に畑を覆いサツマイモの生長を妨げる雑草がイメージされると思いますが、それよりも深刻なのは、線虫です。

線虫は土壌中に生息している、ごく小さい動物で、土壌中にはとても多くの種類で莫大な数がいます。
当然、益虫と害虫の両方がいます。

害虫になる線虫は、農産物の根を腐らせたり、サツマイモのように土の中で実がなる農産物はその実を食します。
当然、使い物にならなくなります。

一世代がだいたい4週間なので、サツマイモの栽培期間で何度も世代交代しながら増えてしまいます。

これを防ぐのは一般的には農薬を使います。
しかし、前述した通り多くの種類がたくさん生息していることから、農薬での土壌消毒は一時的な効果しかありません。
ですから連作する場合(一般の農家は、ほぼ皆さん連作します)は、毎年消毒を、しかも同じ農薬ではだんだん効き目がなくなるので、段々強い農薬で消毒するという悪循環になります。

農産物の品種改良は、「味を良くする」「収穫を上げる」「冷害に強くする」等に加えて「有害動植物に対して強くする」が目的にされることも少なくありません。
最近登場した干し芋適正があるサツマイモでは、“玉乙女”、“紅はるか”が線虫に強い品種として開発されました。

逆に言うと、昔から作られているサツマイモは線虫に弱いということになります。
それはサツマイモ栽培をしていると実感し、“兼六人参芋”や“安納芋”は、他の品種と比べて線虫被害が顕著です。

そこでタツマでは、それらの品種の栽培においての線虫対策をいくつかしています。

害虫の線虫被害が出るということは、サツマイモ栽培により、土の中の微生物のバランスが崩れたことが原因ですから、自然に近い状態に土壌を戻すことが対策になります。

そのためには、連作はご法度です。
作付けした翌年は必ず休耕して、その年の収穫状況を見て、翌年以降にその対策をします。

具体的には麦や、マメ科の緑肥作物や、マリーゴールドを育てます。
これにより土壌を整えます。
線虫被害が多い畑では、翌年だけでなく、その翌年も休耕します。
もちろん休耕といっても麦・緑肥作物・マリーゴールドを植えっぱなしにするわけではありません。
それらを植えていても草は出ますから、管理は必要です。

もうお解かりだと思いますが、これだけの時間と手間をかけてまで、“兼六人参芋”や“安納芋”を育てる干し芋農家はまずいません。

今月は、兼六人参芋の丸ほしいもです。
タツマでも作付けは少なく、収穫量も少ない干し芋です。
中でも丸ほしいもはわずかしか作っていませんので、お宝ほしいもにしました。

干し上がったばかりの兼六人参丸干し芋です。
どうぞお楽しみください。

2016年3月4日 株式会社タツマ
福井保久